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近年、ECサイトの運営やマーケティング戦略の一環で「パーソナライズ」が注目されています。パーソナライズをうまく活用すれば多様化しているユーザーのニーズに応え、一人ひとりの嗜好に合った情報をECサイト上で提供しやすくなるでしょう。
本記事では、ECサイトでパーソナライズが重要視される理由とその活用方法、メリットや注意点、パーソナライズを利用した主な施策・システムなどを詳しく紹介します。一歩進んだマーケティング施策を行うためにも、パーソナライズするシステムを利用してECサイトの売り上げアップを狙いましょう。
パーソナライズとは、ECサイト上でユーザーの購買履歴や属性、検索履歴などに基づいて一人ひとりに合った商品やサービスを提案・提供するマーケティング施策のことです。
主に、ECサイト上で顧客満足度の向上や顧客単価のアップなどを目的として行われています。
近年パーソナライズが重要視されるのにはいくつかの理由があります。ここでは4つの理由を見ていきましょう。
パーソナライズが重要視されている理由の一つに、人口減少に伴う新規顧客の開拓難度が高まっていることが挙げられます。
統計局の調査では、日本の総人口は2011年以降12年連続で減少を続けており、2022年10月1日の時点では約1億2,494万人です。そのうち15〜64歳の人口は約7,420万人で、前年に比べて約29万人も減少していることを示すデータがあります(※)。
少子高齢化が進む今、新規顧客を得る難易度は年々高まっています。ECサイトが効率的に新規顧客を得るためには、ユーザーのニーズに沿ったアプローチを一人ひとりに行っていくことが求められるでしょう。
※参考:統計局.「人口推計 2022年(令和4年)10月1日現在(結果の概要)」.https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2022np/pdf/2022gaiyou.pdf ,(2022-10-01).
ユーザーが得られる情報量が増えたことも、パーソナライズが注目されている理由の一つです。
現代では、スマートフォンやパソコンなどの電子機器の普及により、ユーザーが個人的にECサイトにアクセスして得られる情報の量が増えました。膨大な量のECサイトや商品レビューなどの情報を前にしたユーザーが、自分の趣味や嗜好に基づいた商品やサービスを選び取るには多くの時間がかかります。
そこで、ECサイトをパーソナライズできるシステムを活用して、ユーザーの興味や関心があるものを効率良く提案し、顧客体験を高めることが重要視されています。
ユーザーの価値観やニーズの多様化も、パーソナライズが重要視されている理由の一つです。
現代ではグローバル化やニーズの多様化などの影響で、ユーザーが商品やサービスを選ぶ基準もさまざまに変化しています。そこでECサイトにパーソナライズを取り入れ、ユーザーが持つ価値観やニーズに沿ったアイテムの提案を行う必要があります。
その結果、ユーザーが満足できる顧客体験につながり、新規顧客やファンを獲得できる可能性が高まります。
テクノロジーが進化したことも、パーソナライズが重要視されている理由の一つです。
従来は企業が新聞やテレビ、雑誌などの広告を利用して、不特定多数の消費者に対して一方的に商品やサービスの情報を投げかける「マスマーケティング」が一般的でした。
しかし、テクノロジーが進化した今、ユーザー自らが商品やサービスの情報を選んで意思決定を行う流れが主流になりました。
そのため、ユーザー単位の興味や嗜好に合わせて、ECサイトが商品やサービスの提案を行うパーソナライズのアプローチが注目されています。
パーソナライズを活用するには、BtoB向けとBtoC向けの違いを知っておきましょう。ここではそれぞれの違いを説明します。
BtoBとは、ビジネスの対象が企業の場合を指します。
一般的にBtoBでは、商品を見つけてから購入に至るまでの時間が長くかかる商材が多いのが特徴です。
商談をしているユーザーに商品やサービスの購入決定権があるとは限らないため、どのようなポイントから購入を検討しているのかを見極め、顧客のニーズや興味を理解しながらパーソナライズされた情報を与えていくと、売り上げにつながりやすいでしょう。
BtoCは、ビジネスの対象が個人の場合を指します。
BtoCでは一般的に個人に商品やサービスの決定権があるケースが多く、検討から購入を決定するまでの時間が短いのが特徴です。
感情に訴えかけるデザインや文言を使うと、購入の決め手になることもあります。ユーザー本人の行動履歴や属性などを理解した上でパーソナライズを行うと、売り上げにつなげやすいでしょう。
ECサイトでパーソナライズを行うと、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは主なメリットを4つ紹介します。
ECサイトでパーソナライズを行うメリットの一つに、コンバージョン率(CVR)のアップがあります。
コンバージョン率とは、ECサイトが目的としている成果の達成割合を示す指標です。一般的なECサイトの目的は、ユーザーによる商品やサービスの購入が多いでしょう。パーソナライズを行うと、ユーザーが過去にECサイトから購入した商品に関連したアイテムを提案したり、閲覧履歴からユーザーのニーズに沿った広告を配信したりできます。その結果、コンバージョン率を高める効果が期待できるでしょう。
パーソナライズを行うと潜在顧客へのアプローチにつながります。
ECサイトを訪れるユーザーの中には、自分が欲しい物や必要な物がいまいち理解できていない人もいます。そのようなユーザーに対してパーソナライズを活用すると、過去の閲覧履歴などからユーザーの好みや傾向を把握して商品やサービスの提案を行うことが可能です。ユーザーが自身の新たなニーズに気づいて購入につながるケースもあるでしょう。
パーソナライズを行うと既存顧客との関係強化につながるのもメリットです。
既存顧客のECサイトへの訪問や購入の回数が増えるほどパーソナライズに使えるデータが蓄積していき、よりユーザーの嗜好に合わせた提案が可能になります。その結果、既存顧客は不要な情報を受け取る機会が減り「自分に最適化されたサービスを受けている」と感じやすくなるでしょう。
このような状態が長く続くと、既存顧客のロイヤリティが高まり、リピーターになる可能性が高まります。
パーソナライズを活用すると、不特定多数にアプローチする必要がなくなるため、効率良くマーケティング施策を実行できます。
パーソナライズを利用したマーケティング施策は、すでに自社の商品やサービスに興味を持っているユーザーに対して対策するため、成果につながりやすくなります。
また、パーソナライズのシステム上、ユーザーがECサイトを訪問すればするほど今後のマーケティング施策に活かせる顧客情報を効率的に蓄積できるのもメリットです。
メリットが多く魅力的なパーソナライズですが、実行する際にはどのような注意点があるのでしょうか。ここでは主な注意点を4つ紹介します。
パーソナライズを活用する際は、ユーザーに与える情報が偏らないように注意しましょう。
ユーザーの嗜好に基づいた提案をするのも良いですが、人の好みは常に一定ではありません。時間の経過や、季節、トレンドなどの変化に合わせてユーザーの好きなテイストも変化します。同じような情報ばかりだと退屈に感じてしまい、ユーザーの離脱につながる可能性もあります。
このような状況を避けるには、ユーザーの小さな変化を捉えて新たな提案を行ったり、季節やトレンドを反映させた情報を織り交ぜたりしてパーソナライズを行うと良いでしょう。
パーソナライズを行う際、最新のユーザーニーズも意識しましょう。
例えば、ユーザーが1カ月前に閲覧していた商品を再度提案しても現時点では興味が失せているケースが考えられます。日々変化するユーザーの嗜好に合わせるために、より最新のユーザーデータに基づいたパーソナライズを行うと良いでしょう。
自社商品やサービスの特徴から、パーソナライズが本当に必要か判断するのも忘れないようにしましょう。
例えば、 ECサイトが提供している商品やサービスの種類が少ない場合、提案できる商品が限られるので効果を得にくいです。ECサイトでパーソナライズを行う際は、ユーザーが持つさまざまなニーズに対応できるだけの商品やサービスの種類があることが前提となります。
そのため、ECサイトで取り扱っている自社商品やサービスには、パーソナライズが本当に必要なのかを見極めるように注意しましょう。
パーソナライズを行う際はPDCAのサイクルを回して、新たなマーケティング施策に活かしましょう。
PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つのプロセスを繰り返しながら施策の内容を改善していくフレームワークです。
パーソナライズのシステムを導入して満足するのではなく、最新の顧客情報などを取り入れながら継続的にPDCAサイクルを回しましょう。ECサイトの新規顧客の獲得や売り上げアップなどを目指して、今後のマーケティング施策につなげていく姿勢が大切です。
パーソナライズは具体的にどのような場面で活用されているのでしょうか。ここではパーソナライズを利用した施策やシステムを7つ紹介します。
パーソナライズド広告とは、ECサイトの集客に活かしやすい施策です。主にECサイト上でのユーザーの検索・閲覧履歴に基づいて、ユーザーが興味を持っている分野の広告を選んで表示してくれます。
ユーザー側は興味のない広告を目にする機会が減り、企業側は不要な広告費の削減が可能になるなど、双方にメリットが生まれる施策です。
パーソナライズは動画配信にも活用されています。動画を活用すると、テキストや画像よりもユーザーの興味や嗜好に基づいた内容を短時間で効果的に伝達できます。
パーソナライズされた動画は訴求効果も高く、自社の商品やサービスを多くのユーザーに認知してもらえる可能性が高まるでしょう。
パーソナライズのシステムはSNSにも広く活用されています。
SNSでは、ユーザーが過去に投稿したコメントや、検索、「いいね」した履歴を分析し、ユーザーが興味を持ちそうな投稿をパーソナライズしてフィードに表示します。
SNS上で見かける広告にも同じシステムが採用されているケースがあるため、ユーザーの趣味嗜好に沿ったフィードや広告を表示してくれるでしょう。
パーソナライズのシステムを活用している施策にはメールマガジンもあります。
ユーザーの属性や過去のメールの開封率、新規顧客か既存顧客か、といった情報に基づいてメールマガジンの内容をパーソナライズして送付できます。
この施策には一般的に「MAツール」が利用され、見込み顧客の管理やユーザーの属性に合わせたメールの配信、マーケティング施策を管理して自動化する機能も併せ持っているのが特長です。
ECサイト上でユーザーにパーソナライズを行い、売り上げにつなげるには「WEB接客」ができるツールを活用しましょう。
WEB接客では、ECサイトを訪問したユーザーの属性や嗜好から判断した質の高い提案を行えます。また、AIを活用したチャットボットを使用すればユーザーの疑問や質問をその場で迅速に解決できる上、ECサイトからの離脱を防ぐ効果も期待できます。
また、ECサイトのWEB接客ではパーソナライズにより顧客体験が高まりやすいのも特長です。
パーソナライズド検索は、検索エンジンに入れるキーワードからパーソナライズされたコンテンツを表示するシステムです。
検索エンジンに入れるキーワード以外にも、ユーザーの位置情報、属性などの情報を加味してユーザーに適したコンテンツを上位に表示してくれます。パーソナライズド検索から導き出されるキーワードは、自社のECサイトのSEOにも役立てることができます。
パーソナライズLPとは、ECサイトを閲覧しているユーザーの環境やアクセス地域、流入キーワードなどの条件を詳細に設定してパーソナライズされたLP(ランディングページ)をユーザーに表示する施策です。
パーソナライズLPを活用すると、ユーザーがニーズに合った情報にたどり着きやすくなり、離脱の防止やコンバージョン率のアップにつながります。
この施策には一般的に「LPOツール」が使用され、LPをユーザーに合わせて最適化してくれるだけではなく、バナーの出し分けなどにも活用できるシステムもあります。
本記事では、ECサイトでパーソナライズが重要視される理由とその活用方法、メリットや注意点、パーソナライズを利用した主な施策・システムなどを詳しく紹介しました。ECサイトの顧客体験を高めて売り上げにつなげていくには、パーソナライズをうまく活かすことが大切です。
自社のECサイトの顧客体験を高めてパーソナライズされたWEB接客を導入したいと考えている方は、WEB接客ツールの「Flipdesk」と「Cross Talk」の導入がおすすめです。
Flipdeskは、ECサイトに設置しているタグからユーザーの会員属性、閲覧・購買情報などを収集して分析し、似たような興味を持つ顧客に効果的なWEB接客を提供します。
また、Cross TalkをFlipdeskと連携させると、ユーザーのターゲティング条件を抽出してFlipdeskに反映できるなど多角的なアプローチが可能です。
ECサイトのWEB接客を強化したい方や、WEB接客ツールを詳しく知りたい方は、ぜひマテリアルデジタルへお気軽にお問い合わせください。